下久堅小学校では、今年も6年生が「ひさかた和紙」で卒業証書を作っています。
2月1日には、6年生が下久堅公民館にある作業所「紙屋」で、和紙をすきました。このすいた和紙が、卒業式で自分たちがもらう卒業証書になるのです。
この日、外はあいにくの雪。でも作業所には「ひさかた和紙保存会」や公民館の皆さん方が駆け付けてくれています。保存会の方から「一生残る大切な和紙を一生懸命すいてください」とのお話があり、作業開始です。一人一人が順番に紙をすき始めます。和紙の原料となるトロロアオイとコウゾが漉舟(すきふね)に用意されています。その漉舟から漉桁(すきけた)を使ってすいていきます。
子どもたちは小気味よく漉桁を揺らしながらすきます。前日、練習したとはいえやはり緊張気味です。保存会の皆さんが、手助けしてくれます。すいた紙がでこぼこしないように、前後、左右に滑らかに揺らすのが難しいところです。保存会の方からは、力の入れ方、揺らす時の速さなどのアドバイスがあります。
そして、保存会の方から「もういいです」と言われて終了。ほっとした様子で漉桁を保存会の方に渡します。次は、乾かす作業です。保存会の方に漉桁からすいた和紙を外してもらい、乾燥機に貼り付けます。保存会の人が刷毛でしわを伸ばしてくれます。乾かすこと約4分。卒業証書となる和紙の出来上がりです。保存会の人から「上手に出来たね、いい卒業証書になるよ」と声をかけられます。うれしそうに出来た和紙をもって、公民館の部屋に運ぶ子どもたち。この日は、一人2枚ずつ和紙をすきました。
S君は「昨日練習したときよりは、平らになりました。自分たちが作った卒業証書はとても記念になります」と喜んで話してくれました。
下久堅地区では、昭和の初期まで和紙作りが盛んで、昭和35年頃まで続いていたそうですが、現在では紙漉をしている家は一軒もありません。そんな地域の伝統を残そうと、かつて和紙作りをしていた農家の皆さんや公民館の皆さんが中心になって保存会を発足させ、和紙の里として保存活動を続けています。学校の児童と一緒に和紙の原料となるトロロアオイやコウゾを栽培すると共に、6年生の卒業証書作りも指導されているのです。
地域の皆さんの思いがこめられた卒業証書は、3月17日の卒業式に校長先生から6年生に手渡されます。



