1日目の下栗で活動を終えた生徒たちは、2日目宿舎である「ロッジ下栗」を後にして、南信濃木沢地区に向かいました。
2日目の活動場所は、旧木沢小学校。旧木沢小学校は、昭和7年に作られた木造校舎ですが、児童数の減少と共に平成3年に休校となりました。しかし、その後校舎は取り壊されることなく、当時のままの姿で残っています。
この旧木沢小学校を守っているのは、木沢活性化委員会の皆さんです。
「私たちが学び遊び語り合ったなつかしい木造校舎を残したい、新しいものを作るだけではなく先人たちの思いを残して行きたい」
こんな願いから、活性化委員会を立ち上げ、木沢地区の人々の原風景ともいえる木造校舎に、再びその命をよみがえらせたいと活動を続けてきているのです。
生徒たちを迎えてくださったのは、4人の委員会のメンバーです。そして、今日の授業の講師になってくださる皆さん方です。
旧木沢小学校での授業が始まりました。
1時間目は、「南アルプスの自然」に関わる学習です。講師は、「遠山山の会」にも所属する前澤憲道さんです。
まず、伊那山脈、南アルプスの位置を、遠山谷の位置を地図で確認します。そしてこの遠山谷を中央構造線が走っており、地質学的にも遠山谷は興味深いところだと話されました。また、南アルプスが国立公園に指定されていることも話されました。自然を大切にしながらも、より多くの人々が南アルプスの自然と関わることが大切だと話されました。前澤さんは、南アルプスの多くの山々に登られています。登山に関する話もありました。
「地元の山岳に登り自然の大切さを知ること」「山岳の名前の由来や土地に関する歴史や情報を調べること」が大切だと話されました。そして、最後に自然保護の大切さを強く訴えられました。
遠山谷の人々は、まさに南アルプスと共に生きてきました。その山を愛する気持ちは、他の地区の人々よりも大きいのかも知れません。
続いて2時間目の授業です。
2時間目は「木沢の歴史」についてです。講師は、岩島謹司さん。岩島さんは、画家です。授業の時はいつも巻紙に絵を描いて、それをもとに話してくださいます。今から1000年程前から木沢地区に人が住み始めたこと、遠山氏の領地であったこと、800年程前から霜月祭りが始まったことなどを、詳しく話してくださいました。また、木沢地区の人々は木を切ることで生活してきたこと、それに伴い「森林鉄道」が建設されたことなどもビデオを使い、説明されました。
そして、最後にこの木造校舎の建設に関わる話をしてくださいました。昭和5年、木沢の大火で校舎が焼失したそうです。そして大火の直後であったので資金がなく困ったこと、だから全村民でお金を集めたり、山から木を切り出したりしたこと、機械のない時代だったので人力にたよったことなど、多くの苦労があったことを語ってくださいました。約1年半をかけて完成したそうですが、工事のほとんどは、木沢村民の力で成し遂げたそうです。だから、今でもこの校舎に深い思い入れがあるのです。
生徒たちも岩島さんの話を聞くうちに、なぜ木沢地区の人はこの木造校舎を守ろうとしているのかが理解できてきたようです。
続いて、3時間目は「校舎見学」です。
校舎内には、霜月祭りに関わる展示、南アルプスや森林鉄道に関わる写真やゆかりの品々の展示、また旧木沢小学校の子どもたちの作品も展示されています。これも木沢地区の皆さんが力を合わせて集めた展示品ばかりです。ここにも木沢地区の皆さんの過ぎ去った日々をなつかしむ気持ちが溢れているように思います。
4人の講師の皆さんに案内されて、各教室を巡ります。多くの展示品に生徒たちは、興味を示し足を止めます。その度に、講師の皆さんが丁寧な説明をしてくださいます。
約30分で校舎を一巡しましたが、木造校舎の温もりを感じながら、木と共に生きてきた木沢の人々の思いを感じとることができたのではないかと思います。
そして4時間目は「木沢の人との交流会」。
生徒の質問に講師の皆さんに答えていただくという形式で行いましたが、質問の中心はやはり「木造校舎建設に関わること」「校舎の保存に関わること」でした。
4時間目が終わると勿論「給食」です。食堂は、旧の体育館です。講師の皆さんが作ってくれたカレーに舌鼓をうちます。
「ここで運動をやっていたんだ」
「ちょっと狭いけど、ドッヂボールはできたのかな」
と昔の子どもたちの学習や生活を想像しています。
そして、最後はお掃除。学校生活の中ではとても大切な活動です。短時間でしたが、木の感触を楽しみながら掃除は終わりました。
参加した生徒たちにとって、木造校舎での生活は始めて。なんだか数十年前にタイムスリップしたような、不思議な空間での貴重な体験になりました。
(生徒の感想から)
〇 とても木のにおいがして良かったです。自分が通っている学校とは違い、不思議な雰囲気だったけど、居心地が良くてとてもいい学校でした。
〇 どこも形を全く変えてなくそのままの形であり、何だか雰囲気がとても良かったです。教室に行くと、私が出た学校ではないのに、懐かしい思いがしました。



